概要:バイデン次期米大統領は、労働者が経済から受ける恩恵が小さくなり続けていた過去数十年の傾向を逆転させることを望んでいる。
バイデン次期米大統領は、労働者が経済から受ける恩恵が小さくなり続けていた過去数十年の傾向を逆転させることを望んでいる。
民主党バイデン氏がそれを成し遂げるための最善策は、上院をどちらの政党が支配するかにかかわらず、1人の共和党員の存在にかかっているかもしれない。パウエル連邦準備理事会(FRB)議長その人だ。
バイデン氏は、経済が生み出す所得のうち労働者の取り分を高めるべく、野心的な政策課題を掲げている。それには、最低賃金の引き上げや労働組合の影響力拡大、キャピタルゲインや富裕層への増税などが含まれる。
Shrinking Slice of Income Pie
Worker compensation as share of U.S. income has been trending down for 50 years
Source: Bureau of Economic Analysis
「富だけでなく、労働にも報いるべき時が米国には訪れている」。バイデン氏は16日、新型コロナ禍が経済に与える影響について労組や企業のリーダーと話し合った後の記者会見でこう述べた。
バイデン氏にとって厄介な問題は、同氏の政策プログラムの多くが民主党の上院過半数奪還にかかっていることだ。その行方は、来年1月に行われるジョージア州上院議員選の決選投票2組の結果が出るまで分からない。多くの政治アナリストが予想するように民主党が上院で過半数議席に届かなければ、バイデン氏は労働者寄りの政策実現を主として大統領令や規制措置に頼らざるを得なくなる。
一方で幸いなことに、バイデン氏には、労働市場をパンデミック(世界的大流行)前の状態に戻すことにコミットしているパウエル議長がいる。コロナ禍前は失業率が3.5%という50年来の低水準にあり、幅広い労働者が賃金上昇を享受していた。パウエル議長はそれを実現するため、米金融当局の戦略的枠組みも見直した。
このアプローチはバイデン氏が財務長官に指名すると報じられているイエレン前FRB議長も支持しており、パウエル議長が現在の任期が切れる2022年2月で退任したとしても継続する可能性が高い。
企業には痛みも
労働者寄りの政策は家計の支出を押し上げることになりそうだが、企業と株式市場にとっては功罪両面があるかもしれない。国内総生産(GDP)が増えれば企業の売上高は増えるが、利益として残る分は減るとみられるからだ。
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