概要:NTTドコモは2020年度上期の決算を発表。決算自体は減収増益の堅調な業績だったが、オンライン説明会では「携帯料金値下げ」や「5G」に関する発言に注目が集まった。
NTTドコモ社長の吉澤和弘氏。10月29日の決算会見の様子。
出典:NTTドコモ
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NTTドコモは10月29日、2020年度第2四半期(4〜9月)決算説明会をオンラインで開催した。売上高に相当する営業収益は前年同期比2%減となる2兆2825億円、営業利益は同4.3%増となる5636億円で、減収増益となった。
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主な減収要因は、本業であるモバイル通信事業の新料金プラン「ギガホ」「ギガライト」などの普及によるもので、当初より織り込み済み。
「dTV」「dヒッツ」などのコンテンツ・ライフスタイル系、「d払い」「dカード」などの金融・決済系のサービスの収益の成長や、海外ローミング使用料を含むモバイル通信サービスの減少によって、堅調に業績が推移していると言える。
2020年度上期の決算概要。
出典:NTTドコモ
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他社サブブランドへの対抗策発表はTOB完了後か
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KDDIとソフトバンクはNTTドコモ決算会見の前日に、大容量プランの新料金を発表した。
撮影:小林優多郎
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オンライン決算説明会で最も質問が多かったのは、携帯料金の値下げに関するものだ。
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前日の28日には、KDDIがサブブランドのUQ mobileで、データ容量20GB・月額3980円の「スマホプランV」を、ソフトバンクのサブブランドのワイモバイルも同様(プラス10分以内の国内通話が無料)の「シンプル20」を発表。
いずれもサブブランドのプラン変更とはいえ、NTTドコモは競合2社にどのように対抗していくのかに注目が集まった。
現社長の吉澤和弘氏(左)と新社長に就任する井伊基之氏(右、現・ドコモ副社長)。
出典:NTT/NTTドコモ
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NTTドコモ社長の吉澤和弘氏は、「大容量プランでの国内外での比較、平均値との水準差があることは認識している」と、今後対応していく考えを示した。ただし、その具体的な内容については、「さまざまな選択肢の中から対抗策を継続的に検討していく」と言葉を濁した。
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この背景には、NTTが9月29日に発表したNTTドコモの完全子会社化がある。株式公開買い付け(TOB)の最中で、11月16日16時が期限とされている。
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吉澤氏は「新しい戦略については(TOBの最中なので)このような回答(しかできない)」と説明。現時点では存在しないNTTドコモの“サブブランド”が誕生する可能性について質問も挙がったが、「今は言えない」(吉澤氏)と明言を避けた。
5G契約者数は「計画以上」。11月以降、普及価格帯の端末投入へ
NTTドコモの5G契約者数やエリアの進捗予想。
出典:NTTドコモ
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そのほか、注目を浴びたのが5G展開の進捗状況だ。
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上の資料にあるように、上期(4〜9月)の契約者数は38万、今回の決算発表(10月29日)当日までの最新の数字では50万契約に達していることが明らかになった。これは5G対応のiPhone 12シリーズ発売の影響が後押しした面もあるだろう。
吉澤氏はこの5G契約者数の伸びについて、「計画の上をいっている」とコメント。同社が目標に掲げる“2020年度中に250万契約”達成に向けて、順調に推移している旨を語った。
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また、「フラグシップに限らず、普及価格帯の5G端末を11月以降に順次出していく」(吉澤氏)と、11月15日に予定している新製品発表会の内容を一部におわせた。
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なお、前述のTOBによりNTTドコモの上場は廃止となるため、今回のようなNTTドコモ主体の決算発表の機会は最後となる。
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