会員に対する処分について
平成30年6月15 日
一般社団法人 金融先物取引業協会
会員に対する処分について
本協会は、本日、本協会の会員に対し、下記のとおり定款第19条第1項に基づく処分を
行いました。
記
Ⅰ.SBI FXトレード株式会社
1.処分を受けた協会員名
SBI FXトレード株式会社
2.処分内容
譴 責
3.処分理由
前代表取締役(以下「行為者」という。)は同社代表就任前の平成12年7月に本協会会員
のFX口座を開設し、平成28年6月29日から平成29年10月17日までの間、12通貨
ペアにおいて、1万通貨から200万通貨の外国為替証拠金取引(FX取引)を行った。
本件違反行為を行った背景としては、平成28年6月24日「イギリスの欧州連合離脱是非
を問う国民投票」の実施後のイレギュラーなマーケット環境を背景に、行為者が以前から開設
していた本協会会員のFX口座にて、行為者の資産運用に加え、他社の取引環境の確認の目的
も幾ばくかあり、取引を行ったのが契機であったとのこと。
発生原因としては、協会規則である「金融先物取引業務に従事する従業員等の服務に関する
規則」の第4条(禁止行為)第3号では、「名義の如何を問わず、自己の計算において所属す
る会員の取り扱う金融先物取引等を行うこと。」と定義されているが、「所属する会員」という
部分は自社を指し、自社での取引のみ禁止されており、行為者は他社での取引は禁止されてい
ないと理解していたとのこと。同条第3号の解釈については、協会の「金融先物取引業務マニ
ュアル」のQ&Aに記載されており、行為者はこのQ&Aの内容について認識が無かったとの
こと。
<(参考)金融先物取引業務マニュアルQ&A>
「(前略)FX業務に従事する役職員は、自己の計算において、FX口座をいずれに開
設するか(自社か他会員であるか)を問わず、FX(取引所・店頭の別を問わず)を行う
ことは禁止されています。なお、FX以外の業務を行っている会員(銀行、証券会社等)
の役職員でFX業務以外の業務(銀行における貸付業務等)に従事している場合には、こ
の規定は適用されません。」
同社の従業員服務規程では、全従業員に対して外国為替証拠金取引を禁止しているが、
役員は従業員服務規程に準じない為、行為者は上記の誤認を改められなかったとのこと。
本違反行為に対して誤認をしていた背景としては、開業当初の平成24年に行為者は先
代の代表取締役社長より、グループ会社から出向社員として同社に受け入れた外務員につ
いては、FX口座の閉鎖は必要なく、FXの建玉を保持し続けて良い旨を本協会と確認し
ている旨の伝達を受けていたとのことであるが、本協会で事実確認をしたところそのよう
な事実は確認できなかった。
同社のコンプライアンス・マニュアル5-2(役職員取引の禁止)には『協会が定める
「金融先物取引業務に従事する従業員等の服務に関する規則』に基づき、同社の役職員は
同社が取り扱う店頭通貨デリバティブ取引を禁止します。」と記載されているが、他社で
取引することも禁止されている旨の記載が無い為、同社の役職員は他社でFX取引を行う
ことを禁止されていないと誤って理解する余地があった。
その為、行為者は、他社でのFX取引が証券取引のように地場出し、地場受け、インサ
イダー取引及びフロントランニング等の利益相反に該当しないため、禁止事項とされてい
ないと誤認していた。
同社は同社役員に対し、同社がFX専業であるため、他の会員での取り扱う金融先物取
引等を行う事が禁止されている旨の周知が出来ていなかった。
再発防止策として、平成29年11月14日開催のコンプライアンス委員会において、
協会及び同社の規則(コンプライアンス・マニュアル)等を常勤役員を含む委員に改めて
説明し、同社はFX取引専業である為、全役職員が自社及び他社におけるFX取引が禁止
されている旨を指導し、また、他の役員が同様の取引を行っていない事を確認したところ
同様の事例は発生していなかったとのこと。
これらを勘案すると、行為者は同社の代表取締役という立場にありながら法令に対する認識
が不十分であり、自身の資産運用に加え、他社の取引環境の確認の目的で取引を行っていた。
また、同社の内部管理態勢については、法令遵守態勢の対応について不十分な状況が確認され
た。
4.その他
本処分と併せて、同日付で、定款第16条に基づき、法令、諸規則の遵守及び内部管理態勢
の充実、強化を徹底するよう勧告を行いました。