概要:3日に行われた米大統領選で、政治的に深く分断され新型コロナウイルス禍や経済の落ち込みに打ちひしがれた国家の立て直しと結束を公約に掲げる民主党候補のジョー・バイデン前副大統領が、現職のトランプ氏を破り第46代大統領に選ばれた。
3日に行われた米大統領選で、政治的に深く分断され新型コロナウイルス禍や経済の落ち込みに打ちひしがれた国家の立て直しと結束を公約に掲げる民主党候補のジョー・バイデン前副大統領が、現職のトランプ氏を破り第46代大統領に選ばれた。
集計が続いていたペンシルベニア州とネバダ州でバイデン氏が勝利し、当選に必要な選挙人獲得数270人を上回ったとAPやCNN、NBCが報じた。
バイデン氏は「米国の皆さんが私とハリス次期副大統領に寄せてくれた信頼を光栄に思い、謙虚に受け止める」との声明を発表。「かつてないほどの障害に直面しながら、米国民の投票数は過去最多に上った。民主主義が米国の奥深くで鼓動を打っていることを再び証明した」とコメントした。
バイデン氏当確を報じるブルームバーグTV
出所: Bloomberg)
バイデン陣営によれば、同氏は当選の報を家族とともに自宅で聞いた。バイデン氏はニューヨーク時間7日午後8時(日本時間8日午前10時)に全米向けの演説を予定している。
選挙人獲得地図
出所:ブルームバーグ
大統領選に関する動きは時系列で以下の通り。
バイデン氏声明全文
信頼なる米国民へ米国民の皆さんが私とハリス次期副大統領に寄せてくれた信頼を光栄に思い、謙虚に受け止める。かつてないほどの障害に直面しながら、米国民の投票数は過去最多に上った。民主主義が米国の奥深くで鼓動を打っていることを再び証明した。選挙戦が終わった今、怒りや言葉での攻撃に別れを告げ、国家として団結する時が来た。米国が団結する時だ。そして傷を癒やす時だ。われわれは団結した国、アメリカ合衆国だ。皆で力を合わせれば、不可能なことは何もない。 |
「選挙は全く終わっていない」
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トランプ大統領がバイデン氏当確の報道を聞いたのは、バージニア州スターリングにある自分のゴルフ場だった。大統領は直ちに声明を発表し、不正投票がまん延していたとして、選挙の公正性を攻撃したが、その根拠については示していない。「選挙は全く終わっていない」
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トランプ氏は声明で「この選挙は全く終わっていない」と述べ、「ジョー・バイデン氏はどの州でも勝者として認められていない。ましてや激戦州ではどこも再集計が必至な状況だ。われわれの陣営が正当かつ合法的な法廷闘争を展開している州ではなおさらのことだ。この法廷闘争で最終的な勝者が決まる可能性がある」と続けた。
プロフィル更新
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バイデン氏とハリス氏はツイッターのプロフィルを早速、次期大統領と次期副大統領にそれぞれ更新した。
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今月20日に78歳の誕生日を迎えるバイデン氏は最高齢での大統領選当選で、2期目を目指す現職に勝利するのはビル・クリントン氏が故ブッシュ大統領(父)を1992年に破って以来。
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APによると、バイデン氏は選挙人290人を獲得した。APはアリゾナ州をバイデン氏が取ったと伝えている。アリゾナ、ネバダ両州については、どちらの候補が勝利したかをまだ伝えていないメディアが複数ある。ただ、当選に必要な270人はいずれにしても上回っている。
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選挙戦を共に戦ったカマラ・ハリス上院議員(56)は女性初、そして黒人およびインド系としても初の副大統領となる。民主党内の今後の世代交代をうかがわせる存在だ。
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バイデン氏勝利の報道後、ホワイトハウス前やニューヨーク市のタイムズスクエア、フィラデルフィアなど各地でそれを祝う人たちの姿が見られた。
“It's over!”
Crowds celebrated in New York's Times Square as Joe Biden won the U.S. Presidency #2020election pic.twitter.com/o2EwJt6ELj
— Bloomberg QuickTake (@QuickTake) November 7, 2020
結束回復は困難にも
しかし、トランプ氏が根拠のない投票の不正を主張し、上院で共和、民主どちらが過半数を獲得するかがまだ決まっていない中で、バイデン氏が目標とする米国の結束回復は一層困難になりそうだ。
共和党が上院で多数派を維持する状況が続けば、富裕層や企業への増税、気候変動に配慮したエネルギー政策への転換などが議会で阻まれる可能性がある。下院は民主党が引き続き過半数を確保した。
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バイデン氏は新型コロナウイルス対策と経済の立て直しに最優先に取り組むと約束している。雇用創出に向けて、3兆5000億ドル(約360兆円)規模の財政支出を計画している。主に国債発行を通じて資金を調達する。
新型コロナ危機やリセッション(景気後退)以外にも、バイデン氏は人種問題や加速する気候変動、医療保険制度改革法(オバマケア)を骨抜きにしかねない連邦最高裁判決が下される可能性など一連の重要課題に直面することになる。
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