概要:「女子への投資はすべきことというだけでなく、社会に成長、圧倒的な影響、リターンをもたらすカギだ」という。
インド、ラジャスタン州の子どもたち。
Frédéric Soltan/Getty Images
最新レポートによると、2030年までに中等教育を修了する女子の割合が100%になれば、国内総生産(GDP)は平均10%伸びる可能性があるという。
「これは本当に何とかしなければならない投資ケースだとわたしたちは考えています」とシティ・グローバル・インサイツ(Citi Global Insights)のアナリスト、イン・シン(Ying Qin)氏は言う。
シティ・グループと国際NGOプラン・インターナショナルが10月27日(現地時間)に公表した最新の調査レポートによると、開発途上国で女子が高校を卒業できるよう教育に投資することで、こうした国の経済成長が平均10%伸びる可能性があるという。
8つの途上国 —— その中でも比較的裕福なインドやエジプト、比較的貧しいラオス、ボリビア、エルサルバドル、マリ、ウガンダ、ガーナ —— を対象とした同調査では、少女たちに中等教育を修了させるための投資が国内総生産(GDP)を平均で10%伸ばす可能性があることが分かった。
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「必要な投資総額は少女1人につき1日あたり1.53ドル(約159円)と、コーヒー1杯よりも少ないことが分かりました」とシティ・グローバル・インサイツのアナリスト、イン・シン氏は語った。これは「本当に何とかしなければならない投資ケース」だと考えているという。
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調査レポートでは、その投資対効果(ROI)を2.8倍と、他の投資よりもリターンが大きい —— 例えばシティ・グループのモデルによるとインフラ投資のROIは2.0倍だ —— としている。
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世界全体で1億3000万人の少女たちが学校に行っておらず、国連教育科学文化機関(UNESCO)は1100万人以上の少女たちが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による危機で学校に戻れないかもしれないと報告する中、これは計り知れないほど大きな挑戦だと、レポートは指摘する。
だが、これはチャンスでもある。「女子の教育および健康への投資を優先するCOVID-19からの再生計画が、より良い、より強いコミュニティーと経済を取り戻す役に立つでしょう」とプラン・インターナショナルのCEOアンネ・ビルギッテ・アルブレクトセン(Anne-Birgitte Albrectsen)氏はプレスリリースの中で述べた。
調査レポートは、民間部門が政府や慈善団体とともに役割を果たす「多方面からの投資アプローチ」を呼びかけている。
「女子への投資がもたらす経済的恩恵に関するこれまでの分析の大半は、縦割り型のアプローチを取っていて、(経済とか健康といった)1つの分野だけを見ていました。今回のレポートは、より包括的で複合的な介入・投資アプローチが少女たちに最良の結果をもたらすことができると示すものです」とシン氏は言う。
同氏は、この戦略にはESG(環境、社会、ガバナンス)を重視する投資家が興味を持つだろうと話している。ジェンダー投資も伸びているという。
「ここ2、3年で、ジェンダー投資が大きく伸びているのをわたしたちは目にしてきました。例えば2014年から2018年でその運用資産の規模は1億ドルから24億ドルに成長しています」
「女子への投資はすべきことというだけでなく、社会に成長、圧倒的な影響、リターンをもたらすカギであり、その複合的効果は軽視されるべきではありません」
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[原文:If you want your country to be more successful, invest in girls' education, new research shows]
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(翻訳、編集:山口佳美)
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