概要:欧州中央銀行(ECB)は4日、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に対応する「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」を6000億ユーロ(約74兆円)増額し、少なくとも来年6月末まで延長することを決めた。
欧州中央銀行(ECB)は4日、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に対応する「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」を6000億ユーロ(約74兆円)増額し、少なくとも来年6月末まで延長することを決めた。
ユーロ圏最大の経済大国であるドイツでは3日、メルケル政権を支える連立与党が1300億ユーロの経済対策で合意しており、それと歩調を合わせた今回の予想を上回る緩和の動きは、欧州の金融・財政政策決定の新たな時代を予感させる。
欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は先月27日、実質的な復興基金となる総額7500億ユーロの経済再建策を提案し、加盟国の共同での借り入れを財源とする画期的な方針の転換を打ち出した。
いずれのイニシアチブも十分な中身があるが、それらの組み合わせはかなりの「戦力の誇示」となる。長らく経済政策で共通の立場をうまく見いだせなかった欧州が、共同目的という感覚をこれまで以上に体現する様子もうかがわせる。
クレディ・スイスの欧州担当チーフエコノミスト、ネビル・ヒル氏(ロンドン在勤)氏は「欧州レベルの政策決定の転換は極めて目覚ましい。ユーロ圏経済を目先の危機から回復させる能力があるだけでなく、経済が持ち直した段階でより望ましいバランスの取れた政策の枠組みが実現する可能性を期待させる」と指摘した。
ABNアムロのエコノミスト、ニック・コーニス氏は「ECBもドイツ政府もかつてなく積極的に行動している。政策対応は世界的金融危機と比較しても、はるかに迅速かつ協調的、重点的だ」との見解を示した。
Serious Slump
ECB baseline scenario sees economic output contracting 8.7% in 2020
Source: European Central Bank
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